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永山由高。鹿児島市32歳オトコ。鶴丸高校⇒九州大学⇒日本政策投資銀行⇒2011年7月にコミュニティデザインラボ:Ten-Lab設立。県内各地を走り回る日々。
by gekiretsunagayan
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地域のシンボル的な石蔵が取り壊されたことに対する反応を参考に、対話に必要な2つの軸を考える

鹿児島の湾岸地区にあった素敵な石蔵が取り壊されているというフィードがFacebook上で複数人にシェアされていて、取り壊しの様子を悲しむ声と、その土地で石蔵の跡地にできるのがコンビニだということを嘆く声が散見される状況。

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写真は友人の坂口修一郎さんのInstgramより。

僕も一鹿児島県民として、素敵な石蔵が壊されることに悲しい気持ちを表明しつつ、このような事態に対話という手段からアプローチする上で大切にしたいことをを考えてみた。

今回のような自分たちの暮らしにつながる場所で個別具体的な価値観の衝突がおきたとき、どちらか一方を非難するのではなく、相手の考えに対する人間的共感をもちながら、すれ違いを両者で共有しながら、共に未来を描くようなプロセスをつくっていきたいと僕は思っている。

そのために、僕が個人的に大切だと思う2つの考え方をご紹介したい。

①共感の姿勢:「石蔵を壊すという決断をした誰か」に、歩み寄る気持ちを持つこと。



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共感の姿勢。 あなたと価値観の異なる誰かの、本質的なニーズをくみ取ろう。

今回の件でいうと、石蔵の取り壊しを決めた誰かが、やむに已まれず取り壊すにいたったかもしれないというところまで一度想像できるかということ。
「コンビニが出来るらしい」という報に対して、「コンビニなんてどこにでもできるじゃないか!」と憤るのではなく、
「コンビニを創りたいと思った人にはどんなニーズがあったんだろう?」と想像することから始めるということ。

NVC(共感コミュニケーション)というコミュニケーションの技法がある。
もともとはマハトマ・ガンディーのコミュニケーションを研究するなかで体系化された共感を軸にしたありかたで。
NVCとは、「世界のあらゆる人のあらゆるニーズに対して、人は共感することができる」という考え。
どんな行動にも背景があり、人間のすべての行動は突き詰めていくと人類として根源的なニーズに行きつくと。
そして、その人類としての根源的なニーズそれ自体は、すべての人にとって共感可能なものであると。

たとえば、結果としてとられた手段が犯罪行為であったとしても、それら犯罪行為の根源にある当事者のニーズに対しては、人は共感できるというあり方。

価値観の衝突を対話によって解決しようと思うなら、まずは両者が議論のテーブルに座ることが必要。

自己とは異なる価値観で様々な意思決定を行う他者がいたときに、その根源的なニーズ(それは安全な環境を整えたいというものかもしれないし、
社会に貢献したいというものかもしれない。)に対してどこまで共感的にコミュニケーションをとることができるか、という共感力は、対話の文化が必要とする素養の一つだ。

「あなたにとっては許すべからざる蛮行であるその行為が繰り返されないために、その蛮行を実行せざるを得なかった誰かの背景までを想像してコミュニケーションをとる」ということ。
対話によって課題を解決したいと思うときにまず意識したい在り方だと思う。


②本質的な解決を志向する姿勢:最少の出力で最大のインパクトを生み出す

今後、同じようなことが起きないために、行動を起こしたい人は多いと思う。
今回の件も、行動を起こすとなるといろんな方向性がある。

新たに生まれるコンビニの不買運動をするとか、街中でデモをするとか、表面的に怒りを表明する行動も無数にありうる。
けれど、本質的な解決を志向しようとおもったら、今回のような事象がなぜ生まれたのか。その原因を適切に把握するしかないように思う。

もちろん、世の中は複雑で、一見単純に見える問題も、その背景は多くの要素が複雑に絡み合っている。
今回の悲しい出来事(石蔵の取り壊し)に至るプロセスもそう。
現代社会の複雑なシステムを総体としてとらえて、課題を整理し、本質的な解決策を探る思考を「システム思考」と呼ぶ。

なぜ石蔵は壊されたのか。その背景を丁寧に読み解き、どのタイミングでどのような対策をとりえるのか(とりえたのか)を整理すること。
これは、感情的な思考ではなく、論理的な思考での課題整理・関係性把握(システム思考)の技術が必要だ。

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感情的な意思表明のアクションと、論理的な課題解決のアクション

石蔵が壊されるにいたった複数の要素がそれぞれどのように構成されているのか。
その相互の関係性のなかに、類似の問題を事前に防ぐヒントがある。

今回の件を参考に、(まずは僕の想像の中で)石蔵が取り壊されるにいたる要素をたくさんあげてみた。

①石蔵が歴史的に希少なものであることを理解できなかった
②石蔵を今のままで残すことの必要性を感じなかった
③石蔵を壊して作りたい施設があった
④石蔵をいまのままで保管するコスト・リスクを負担できなかった
⑤石蔵に対して個人的な恨みがあった
…まずは5つくらい挙げてみる。

そして、これらの要素について、それぞれさらに原因となりうる要素を追記していった課題の相関図がこちらである。

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【相関図】

こうして相関関係を整理していくと、いくつかのポイントがみえてくる。

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【課題解決のポイント】

こうして整理した結果、もっともクリティカルなポイントは、「石蔵を残すことの価値をオーナーが感じる場面がない」という情報流通の問題なのではないかという仮説が浮かび上がる。

だとすれば、不動産オーナーに対して、歴史的に価値ある物件の価値を、適正に伝えるような具体的な行動が必要だなということになる。(さらに、その価値が経済的価値に交換されるようなアイデアもあると最高だ。)

どうだろうか。

今回は石蔵の取り壊しというトピックを事例に、ファシリテーター的なアプローチで課題解決の道筋を考えてみた。

ちなみに、②システム思考 の根幹には、①共感思考がある。

だって、課題の本質を深く把握するには、その課題の当事者の思考をトレースする必要があるから。
「その人にも、事情があったはず」「では、その事情って何なんだろう」と、2歩下がって考えるところから、解決に向けた議論をはじめたいなと。

以上本日は、①原因に対する歩み寄り(NVC)と、②原因を構造的に把握する(システム思考)、僕のファシリテーションを構成する大きな2つの柱についてのお話でした。
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by gekiretsunagayan | 2016-04-13 10:43 | 雑感